2016年05月10日 16:00

【A.T. カーニー調査】 2016年海外直接投資信頼度ランキング 「企業が投資したい国」は4年連続で米国が首位、中国が2位。 日本は順位をあげ、6位にランクイン

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経営コンサルティング会社A.T. カーニー(本部:米国イリノイ州シカゴ、東京オフィス:港区)は、「海外直接投資信頼度指数」の調査結果を発表し、投資先として魅力のある国上位25カ国をランキングした。 最新の調査によれば、回答者の4の3が今後3年以内に海外直接投資を増加させる意向であるとし、調査対象である世界の大手企業経営層が成長の機会を前向きにとらえていることがわかった。

経営コンサルティング会社A.T. カーニー(本部:米国イリノイ州シカゴ、東京オフィス:港区)は、「海外直接投資信頼度指数(The FDI Confidence Index(R) :FDICI)」の調査結果を発表し、投資先として魅力のある国上位25カ国をランキングした。

※ 2016年5月3日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です。

今回で16回目の発行となる「海外直接投資信頼度指数(FDICI)」の最新の調査によれば、回答者の4の3が今後3年以内に海外直接投資を増加させる意向であるとし、調査対象である世界の大手企業経営層が成長の機会を前向きにとらえていることがわかった。
今年の指標から分かるのは、貿易成長の鈍化と(とりわけ新興国市場の)マクロ経済の不透明化によって、成長の機会を得るために海外直接投資を計画するグローバル企業経営者が増えていることだ。
海外直接投資信頼度指数では、米国が4年連続で首位となった。グローバル企業経営者も、米国経済の展望について、他国よりも楽観的との見解を示している。中国は、四年連続で2位となったものの、今年になって、投資家の中国経済への見通しは明らかに悪化しており、市場の変動が続けば、中国への海外直接投資を減らすとの経営者の声もある。

本調査の創始者でA.T. カーニーグローバル・ビジネス・ポリシー・カウンシルの会長、ポール・ラウディシナは、このように述べている。 「この4年間で、世界のビジネス環境が大きく変わり、米国と中国の指標が安定して上位を占めている。経営者が、米国と中国への投資に関心を持ち続けていることは、この2つの経済大国の魅力が、否定しようのない永続的なものであることを示している。18年間の調査のなかで、確固たる経済的見通しのある巨大市場を好むという、投資家の普遍的な特性が明らかになっている」

海外直接投資信頼度指数は、経営者のグローバル投資に対する先進的な見解を、徹底的に解明している。同調査の開始は1998年。各地域への海外直接投資の流入額を入念に調べ、各国の正確なランキングを作成し、グローバル企業経営者の、海外直接投資の選択に関する信頼性のあるデータを提供している。
全般的に見れば、グローバル化は鈍化傾向にあるが、成長の機会を求めて海外直接投資を計画するグローバル企業経営者が増えている。世界の海外直接投資額は36パーセントも増加し、2007年以降最高の17兆ドルとなった。また、企業の収益性と競争力に関して、大部分の経営者が、近いうちに海外直接投資の重要性が増すと考えている。それを表すデータとして、調査対象となった企業の7割以上が、3年以内における海外直接投資の増額を計画している。この理由として、多くの国で保護貿易主義的な気運が高まっていることがある。そのために、企業が海外市場に進出する必要性が大幅に増えているのだ。

世界経済の展望が前年に比べて改善しているかどうかについては、グローバル企業経営者の見解はほぼ半分に分かれているが、これはこの数年間ではもっとも弱気な見解である。それは、海外直接投資信頼度指数の上位を、先進国市場がほぼ独占していることから分かる。今年のランキングでは、上位10カ国のうち8カ国、また全体の8割を、先進国市場が占めているのだ。

A.T. カーニーグローバル・ビジネス・ポリシー・カウンシルのマネージングディレクターで、本調査の共同リーダーであるエリック・パターソンは、こう述べている。 「現状としては、海外直接投資先として最も安全な国を求める動きが続いている。その理由は簡単だ。巨大な新興国市場の多くは、経済的な先行きが不透明であり、そのことが、投資家の関心を北米や欧州といった先進国市場へ向けさせているのだ」

今年の投資家調査で明らかになったこととして、米国や欧州の政治的なリスクが、それらの国々の海外直接投資先としての輝きを曇らせる可能性がある。少なからぬ割合の経営者が、11月に行われる米国の大統領選挙で大衆主義者 (極左・極右問わず) が選ばれた場合、米国への海外直接投資を減らすだろうと答えている。また、2016年の海外直接投資信頼度指数の上位25カ国中16カ国を占める欧州も、主要な投資先といえるが、英国のEU脱退が現実味を帯びてきており、これが経営者たちの心理に重くのしかかっている。経営者は、英国の有権者がEU脱退を選んだ場合、英国のみならず、さらに広くEU全体への海外直接投資を減らす可能性を示唆している。だが、現状として、米国市場と欧州市場は、海外直接投資信頼度指数において圧倒的優位にある。仮に上記の事態が現実化した場合、企業がどこへ投資を切り替えるかについては、疑問が残る。

この2年間、グローバル企業の経営者は、地政学的な緊張の高まりを感じており、それを外部環境における最大のリスクと考えられる。次に大きなリスクは、新興国市場の政治的・経済的な不安定性で、それが新興国市場の指標の低さにつながっている。物価に関しては、まったくの未知数である。今年、物価が上がると予想しているグローバル企業の経営者と、下がると予想している経営者は、ほぼ同じ割合だからだ。
【地域別の概要】
アメリカ地域: 米国は4年連続で首位を維持している。米国市場に関心を持つ海外投資家は広範にわたるが、米国への海外直接投資の大部分を占めるのは、日本、カナダ、中国である。カナダは、海外直接投資信頼度指数の順位を一つ伸ばし、3位となった。カナダ投資法のもと、民間部門の海外投資の純便益には政府の審査が必要となるが、待望の改正により対象が縮小されたことで、カナダの海外直接投資先としての魅力が高まっている。ラテンアメリカ地域で、2016年の海外直接投資信頼度指数ランキングにランクインした国はブラジルとメキシコのみだが、両国とも大きく順位を落としている。

欧州地域: 欧州は、今年、企業経営者から圧倒的な関心を得ており、上位25カ国中13カ国を占めている。これは、史上最多の15カ国となった前年に比べて若干の減少だが、今なおグローバル企業の経営者にとって欧州市場が魅力的であることを示している。フォルクスワーゲンの排ガス不正問題、不安定な情勢が続くウクライナ、難民危機、世界的な注目を集めたパリとブリュッセルでのテロ攻撃、こういった問題にも関わらず、現実として、欧州経済は成長を続けている。ドイツが一つ順位を上げ4位となり、今年欧州地域で首位となった。続いて5位が英国、8位がフランスで、欧州で上位10カ国以内に入ったのはその3カ国のみだった。今年、欧州の新興国市場にはまったく勢いがないことから、投資家の欧州経済への関心は先進国市場に限られている。

アジア地域: 中国が4年連続で2位となった。海外直接投資信頼度指数調査への回答から、中国では今なお、部門を問わず幅広い投資への関心が集まっていることが分かった。最近、中国国務院は、電気通信、電力、軍用機器、石油・ガス、民間航空といった主要産業の部分的な民営化を発表した。それらへの海外投資が可能になれば、投資への関心はさらに広がる可能性がある。日本は前年に引き続き順位を一つ上げて6位となり、海外直接投資信頼度指数のランキングが始まって以来最高位となった。日本政府が、国内の徹底したグローバル化を進め、2020年における対内直接投資残高を35兆円へ倍増する(2012年時点17.8兆円)という目標が掲げたことが評価につながった。また、オーストラリアも順位を三つ上げ、7位となった。今年のランキングで最も順位を上げた国はシンガポールで、順位を五つも上げた。インドも、今年のランキングで順位を2つ上げ、1年ぶりに上位10カ国入りを果たした。また、今年初めてランクインした3カ国のうち2カ国はアジア地域の国で、台湾とタイだった。


【調査概要】
「海外直接投資信頼度指数(FDICI:The FDI Confidence Index(R))」は、世界の大手企業の経営者層を対象とする独自調査から得た一次データを分析し、まとめたもの。回答者の役職はCxOレベルの役員、地域統括責任者など。調査対象企業は世界27カ国の全産業セクターにわたる。すべての参加企業の全世界売上は5億ドル以上。なお今回の調査は2016年1月に実施された。

本指標は、今後3年間の対市場直接投資見込みについての質問に対する回答の加重平均を取っている。指標価値は、対象国を除いた回答に基づいている。例えば、米国の指標価値は、在米投資家からの回答を除いて計算されている。

FDIフロー額の出所はUNCTAD(国際連合貿易開発会議)の最新統計。二次ソースとして、投資促進機関、中央銀行、財務省、産業省、主要定期刊行物のデータも活用。

本調査報告書(英語)はこちらから
https://www.atkearney.com/gbpc/foreign-direct-investment-confidence-index



【この件に関するお問合せ先】
A.T. カーニー株式会社 JP.inquiry@atkearney.com

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