ロシア国内の国営放送が、国民に「第三次世界大戦に備えろ」と繰り返し警告する異例の事態が起きている一方で、アメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の間の高レベルな外交対話が進展しているという、深刻な情報ギャップが生じている。
この乖離は、ロシア政府が国内に向けて発信する好戦的なプロパガンダと、検閲により外部から遮断された同国民の過酷な現実を浮き彫りにしている。
ロシア国営放送が煽る「クリスマスまでの開戦」
10月に入り、ロシア国営放送のニュースキャスターは、国民に対し戦争への準備を促すメッセージを発信し始めた。
その内容は、西側諸国の直接介入の可能性を示唆するものだ。
国営放送は、アメリカがウクライナへの兵器供与に留まらず、アメリカ本土からではなくウクライナ領内からロシアの深部を標的とする長距離ミサイルやドローンを発射するという、事実上の直接攻撃のシナリオを報道している。さらに、イギリスとフランスがウクライナ戦争に参戦する可能性が極めて高いと主張し、「クリスマスまでの第三次世界大戦」勃発の懸念を煽っている。
これらの報道に連動し、モスクワやサンクトペテルブルグといった大都市では、戦争準備の一環として、ミサイル攻撃に備える訓練や学校での避難訓練の様子が繰り返し放映されている。
この乖離は、ロシア政府が国内に向けて発信する好戦的なプロパガンダと、検閲により外部から遮断された同国民の過酷な現実を浮き彫りにしている。
ロシア国営放送が煽る「クリスマスまでの開戦」
10月に入り、ロシア国営放送のニュースキャスターは、国民に対し戦争への準備を促すメッセージを発信し始めた。
その内容は、西側諸国の直接介入の可能性を示唆するものだ。
国営放送は、アメリカがウクライナへの兵器供与に留まらず、アメリカ本土からではなくウクライナ領内からロシアの深部を標的とする長距離ミサイルやドローンを発射するという、事実上の直接攻撃のシナリオを報道している。さらに、イギリスとフランスがウクライナ戦争に参戦する可能性が極めて高いと主張し、「クリスマスまでの第三次世界大戦」勃発の懸念を煽っている。
これらの報道に連動し、モスクワやサンクトペテルブルグといった大都市では、戦争準備の一環として、ミサイル攻撃に備える訓練や学校での避難訓練の様子が繰り返し放映されている。
トランプ・プーチン会談の「大きな進展」
この国内の緊張が高まる中、トランプ大統領は16日にプーチン大統領と電話で協議し、数週間以内にもハンガリーのブダペストで直接会談することで合意したと発表した。トランプ氏はソーシャルメディアで、今回の協議は「非常に生産的」であり、「大きな進展があった」と強調した。
両首脳の電話協議は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のホワイトハウス訪問を控えたタイミングで行われた。トランプ氏は、ロシア深部への攻撃を可能にする長距離巡航ミサイル「トマホーク」のウクライナへの供与を検討しており、ゼレンスキー氏はトマホークの話題がロシアを「対話を再開しようと焦らせている」と指摘している。
この国内の緊張が高まる中、トランプ大統領は16日にプーチン大統領と電話で協議し、数週間以内にもハンガリーのブダペストで直接会談することで合意したと発表した。トランプ氏はソーシャルメディアで、今回の協議は「非常に生産的」であり、「大きな進展があった」と強調した。
両首脳の電話協議は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のホワイトハウス訪問を控えたタイミングで行われた。トランプ氏は、ロシア深部への攻撃を可能にする長距離巡航ミサイル「トマホーク」のウクライナへの供与を検討しており、ゼレンスキー氏はトマホークの話題がロシアを「対話を再開しようと焦らせている」と指摘している。
映画のディストピアの様相を彷彿させる検閲と貧困が広がる
公式な外交の楽観論とは裏腹に、ロシア国内の状況は「ディストピア」と形容されるほど深刻化している。
モスクワやサンクトペテルブルグなどの比較的裕福な都市の家庭がテレビで放映される一方で、大都市以外の地方都市、特に貧しい地域では、国営放送の「戦争に備えよ」という主張に対し、「これ以上戦争になっても出すモノもない」と多くの住民が呆れており、戦争継続に対する不満が深まっている。
記者が独自の情報筋から得たところによると、ロシアの田舎町では、私的な会合を含むあらゆる集まりが禁止され、SNS上のグループチャットや掲示板も徹底的に検閲されている。プーチン政権への不平不満や、1リットル600円にも達する現在のガソリン相場といった物価高の問題は、ロシア国民の生活を深刻に圧迫している。兵役に送られた子供の心配をする投稿をしただけで、警察や軍人が自宅に駆けつける事例も報告されている。
さらに、ロシア国内の都市間での格差も広がっている。モスクワ、サンクトペテルブルグなどの大都市では物資の欠乏は見られないものの、その他の都市では物資不足や輸送の遅れにより餓死者が出ている状態にある。検閲の厳しさから、監視を避けるために物々交換が再び流行している。
公式な外交の楽観論とは裏腹に、ロシア国内の状況は「ディストピア」と形容されるほど深刻化している。
モスクワやサンクトペテルブルグなどの比較的裕福な都市の家庭がテレビで放映される一方で、大都市以外の地方都市、特に貧しい地域では、国営放送の「戦争に備えよ」という主張に対し、「これ以上戦争になっても出すモノもない」と多くの住民が呆れており、戦争継続に対する不満が深まっている。
記者が独自の情報筋から得たところによると、ロシアの田舎町では、私的な会合を含むあらゆる集まりが禁止され、SNS上のグループチャットや掲示板も徹底的に検閲されている。プーチン政権への不平不満や、1リットル600円にも達する現在のガソリン相場といった物価高の問題は、ロシア国民の生活を深刻に圧迫している。兵役に送られた子供の心配をする投稿をしただけで、警察や軍人が自宅に駆けつける事例も報告されている。
さらに、ロシア国内の都市間での格差も広がっている。モスクワ、サンクトペテルブルグなどの大都市では物資の欠乏は見られないものの、その他の都市では物資不足や輸送の遅れにより餓死者が出ている状態にある。検閲の厳しさから、監視を避けるために物々交換が再び流行している。
ついに餓死者が出る、カムチャッカ半島大地震による二重苦
ロシアの公式の発表では地震による被害は「ゼロ」と報道されているが
実際のロシアの窮状は、経済的圧力と自然災害によってさらに悪化している。
トランプ大統領は、半ば脅迫的な高額関税(50%)を武器に、中国に次ぐロシア産エネルギーの主要消費国であるインドに対し、輸入停止を要請。これは、ロシアの戦争遂行能力そのものを奪うことを目論んだ、強力な経済的揺さぶりであることは周知の
事実だ。
また、東部のカムチャッカ半島では、最近の地震により道路インフラが破壊され、火山灰によって空港も使用不能になっている。高価なヘリコプター輸送に頼るしかない状況で、軍関係者以外の地元住民には物資が届かず、貧困にあえぐ人々が地震の二次災害で命を落とすという悲劇も発生している。
こうした国内の厳しい現実と、ロシア国営放送が発信するプロパガンダ、そして表向きの前向きな外交報道との間の大きな乖離は、ロシア国内の真の状況が国際的にほとんど認知されていないことを示している。ウクライナ支援の機運が高まる背景には、かつて暗殺された反体制派指導者ナワリヌイ氏の死(遺体に拷問の痕跡が確認されたとされる)に対する国内の反発も影響していると見られる。
すでにロシア単体では戦争遂行能力がない状態で、戦場では北朝鮮兵が中心に戦っているが
毎日1000人程度の北朝鮮兵が最前線で命を落としているという話を現地情報筋から聞いてはいる。
ロシアの公式の発表では地震による被害は「ゼロ」と報道されているが
実際のロシアの窮状は、経済的圧力と自然災害によってさらに悪化している。
トランプ大統領は、半ば脅迫的な高額関税(50%)を武器に、中国に次ぐロシア産エネルギーの主要消費国であるインドに対し、輸入停止を要請。これは、ロシアの戦争遂行能力そのものを奪うことを目論んだ、強力な経済的揺さぶりであることは周知の
事実だ。
また、東部のカムチャッカ半島では、最近の地震により道路インフラが破壊され、火山灰によって空港も使用不能になっている。高価なヘリコプター輸送に頼るしかない状況で、軍関係者以外の地元住民には物資が届かず、貧困にあえぐ人々が地震の二次災害で命を落とすという悲劇も発生している。
こうした国内の厳しい現実と、ロシア国営放送が発信するプロパガンダ、そして表向きの前向きな外交報道との間の大きな乖離は、ロシア国内の真の状況が国際的にほとんど認知されていないことを示している。ウクライナ支援の機運が高まる背景には、かつて暗殺された反体制派指導者ナワリヌイ氏の死(遺体に拷問の痕跡が確認されたとされる)に対する国内の反発も影響していると見られる。
すでにロシア単体では戦争遂行能力がない状態で、戦場では北朝鮮兵が中心に戦っているが
毎日1000人程度の北朝鮮兵が最前線で命を落としているという話を現地情報筋から聞いてはいる。
Daisuke Tarutani
欧州ジャーナリスト連盟会員
Japan JP 465 NJ269 photographer
樽谷大助
公益社団法人 日本外国特派員協会
メンバーNo TA1321
執筆 国際ジャーナリスト KANAME YAGIHASHI
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メンバーNo TA1321
執筆 国際ジャーナリスト KANAME YAGIHASHI



