2025年10月28日 15:00

東京国際映画祭 吉永小百合主演作「てっぺんの向こうにあなたがいる」作品に描かれた女性の社会進出の困難と壁

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劇中に描かれた女性社会進出を阻む壁
第38回東京国際映画祭で上映された吉永小百合主演作『てっぺんの向こうにあなたがいる』(阪本順治監督)が、奇しくも日本で初の女性総理が誕生したという時事的な背景の中で、女性のリーダーシップの変遷に光を当て、大きな反響を呼んでいる。

映画は、1975年に女性として世界で初めてエベレスト登頂を成功させた登山家、田部井淳子さんの生涯を題材としている。この登頂が実現した当時、日本社会は「ウーマンリブ」の概念が浸透し始めたばかりであり、女性が社会の表舞台に進出するには、未だ数多くの構造的な制約が存在していた時代だ。

男性の冒険隊であれば一億円は集まるが、女性冒険隊の身では資金もロクに集まらない。
劇中では「ウーマンリブ」は嫌いとあからさまに不愉快を露わにするシーンがあり、時代のコントラストを作品中で明らかにしていた部分があった。
写真 阪本順治監督・吉永小百合・のん
本作品で知った偉大なる女性の存在

本作の上映に際し、多くの鑑賞者は、田部井さんが不可能に挑んだ時代と、高市早苗自民党総裁による日本初の女性総理誕生という現代の出来事を重ね合わせる動きを見せている。ある観客は、「1970年代の女性たちにとって、女性総理の誕生は想像を絶するほど遠い夢だったに違いない。映画は当時の女性が直面した困難と勇気を鮮明に映し出している」と語った。
『てっぺんの向こうにあなたがいる』が描くのは、自らの意志で道を切り開き、困難な状況下で「てっぺん」を目指した一人の女性の不屈の精神である。これは、新しい時代の女性のあり方を先駆けた、パイオニア精神そのものとして、観客に強い印象を与えている。
初の女性総理大臣誕生と映画公開が重なる

日本において「女性総理」という、かつては想像の範疇を超えていた「てっぺん」が現実となった今、この映画は単なる伝記以上の意味を持つことになった。時代を切り開いた女性たちの行動力と精神が、現代の私たちに対し「真のリーダーシップとは何か」「次なる時代の女性の生き方とは」という、普遍的かつ重要な問いを投げかけている。
映画の試みは、新しい時代の女性たちが次なる「てっぺん」を目指す上での、力強い指針となるだろう。

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