2025年12月17日 11:00

【矢野経済研究所プレスリリース】 SDV時代における車載関連アプリケーション市場に関する調査を実施(2025年)~2025年の国内車載関連アプリケーション市場規模は1,068億円は見込む~

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株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の車載関連アプリケーション市場を調査し、OEM(自動車メーカー)やTier1・Tier2等(自動車部品サプライヤー)、ソフトウェア開発ベンダーにおける車載プラットフォームおよび車載アプリケーションの開発動向、E/Eアーキテクチャおよび車載アプリケーションビジネスの動向、今後の方向性等を明らかにした。
ここでは、2030年までの車載関連アプリケーション市場規模の推移・予測について、公表する。

1. 市場概況

SDV(Software Defined Vehicle)の実現に向けた研究開発により、車は単なる移動手段としての位置づけから、運転者や同乗者に対して情報提供や操作機能を提供する存在に進化する。車載アプリケーションは車両内で動作するソフトウェアとして、運転することでワクワクする体験ができる価値の創出を実現しようとしている。

本調査における車載関連アプリケーション市場は、車載アプリケーション(情報系アプリ+ボディ系アプリ+車両制御およびADAS系アプリ)および車載プラットフォーム(ミドルウェア+ビークルOS+HAL(統合化層))を対象としている。
車載関連アプリケーション市場規模は、2022年が前年比198.1%の103億円、2023年は同285.4%の294億円、2024年は同193.2%の568億円と順調に拡大を続けている。OEM(自動車メーカー)各社はまず車載プラットフォームの開発を継続的に進めていることから、2024年の車載アプリケーションおよび車載プラットフォームの構成比は、車載アプリケーションが構成比25%、車載プラットフォームが同75%と推計した。
2.注目トピック~車載プラットフォーム及び車載アプリケーションにおけるアーキテクチャの変遷

本調査では、2025年/2028年/2030年における車載関連アプリケーションに関するアーキテクチャ(Architecture)の予測を行った。
アーキテクチャの模式図変遷が示すように、2025年には多くのOEM(自動車メーカー)においてECU(Electronic Control Unit)ごとに機能分割したドメインベースのE/E(Electrical/Electronic)アーキテクチャを採用する形となる。他方、車載プラットフォームも機能ごとにサイロ化(連携が取れずに分断されている状態)しており、OTA(Over The Air:無線データ通信によるアプリ更新)などを含めて未成熟な状態にある。

2028年になると、従来ボディ系や情報系をカバーしてきた、ドメイン間の連携をとる統合化層(HAL:Hardware Abstraction Layer)のカバー範囲が、ADAS系(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)まで広がっていく見込みである。ADAS系は車両制御系に関与するためASIL(Automotive Safety Integrity Level:自動車安全水準)上、CおよびDにあたり、実現に際してはミドルウェアの役割が極めて重要となるため、ソフトウェア開発ベンダーと連携した動きが求められ、その一環としてSoC(System on Chip)などの利用も出てくると考えられる。

2030年には、ボディ系のハードウェアが従来のドメイン型からゾーン型へと移行していく点が最も大きな変化となる。現状、SoCは高額であり、費用対効果の面から搭載は難しいのが実情である。しかし、2030年までにはSoCの価格低下が進むとみており、車両4か所(前方・右側/前方・左側/後方・右側/後方・左側)にゾーンECUとして分散・搭載することが可能になると予測する。

3.将来展望

2025年の車載関連アプリケーション市場規模は、前年比188.0%の1,068億円となる見込みである。内訳をみると、車載アプリケーションが構成比30%、車載プラットフォームが同70%となった。
2025年のアーキテクチャの模式図のように、車載プラットフォームは情報系やボディ系の一部をカバーしたものとなっており、未成熟ではあるものの、OEM(自動車メーカー)各社は完成形に向けて開発を進めている。OEM各社は併せて、Member API(Application Programming Interface)やPublic API※を活用した車載アプリケーションを中心に複数のアプリケーションの開発を進めており、ラインアップを増やすべく取り組んでいる状況にある。

こうした傾向は変わらないものの、2028年ごろには統合化層(HAL)のカバー範囲が広がり、情報系やボディ系に留まらず、ADAS系もカバーし、ミドルウェアの統合化を含めて概ね完成形に近づいていく。
車載プラットフォームの研究開発は落ち着いていく一方、各種APIを活用した車載アプリケーションの整備に向けて開発を進めていく必要が高まり、両者の構成比が近づく。2030年には車載プラットフォームが構成比51%、車載アプリケーションが同49%とほぼ半々になるものと見込む。
そうしたことから、2030年の車載関連アプリケーション市場規模は6,012億円に達するものと予測する。

※API(Application Programming Interface)の区分について
Private APIとは、OEMやTier1・Tier2等(自動車部品サプライヤー)がソフトウェアのアップデート等を行うためのAPIをさす。
Member APIとは、OEMやTier1・Tier2等に加えて、OEMから認証等を受けたサードパーティがアップデート等を行うためのAPIをさす。
Public APIとは、OEMやTier1・Tier2等のほか、幅広いサードパーティがアップデート等を行うためのAPIをさす。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3999

調査要綱
1.調査期間:2025年9月~10月
2.調査対象:OEM(自動車メーカー)、自動車部品サプライヤー(Tier1・Tier2等)、ソフトウェア開発ベンダー
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2025年11月28日

お問い合わせ
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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株式会社矢野経済研究所
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会社概要

商号
株式会社矢野経済研究所(カブシキガイシャヤノケイザイケンキュウジョ)
代表者
水越 孝(ミズコシ タカシ)
所在地
〒164-8620
東京都中野区本町2-46-2 中野坂上セントラルビル
TEL
03-5371-6900
業種
コンサルティング・シンクタンク
上場先
未上場
会社HP
https://www.yano.co.jp/

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