2026年03月11日 14:00

廃棄物がエネルギー資産に変わる時代──バイオガス市場、2032年までに609億ドル規模へ

バイオガスとは、家畜ふん尿、食品残渣、下水汚泥、農業残渣、埋立地ガスなど有機性原料を嫌気性消化により分解し、主にメタンと二酸化炭素から成る可燃性ガスとして回収する再生可能エネルギーである。発電・熱利用に加え、精製してバイオメタン(RNG)として都市ガス網へ注入し、産業燃料、輸送燃料、さらにはe-燃料や化学原料の低炭素化にも接続できる点が特徴である。事業価値はガスの生成だけでなく、廃棄物処理費の最適化、消化液の肥料化、メタン漏えい管理、CO2の回収・利用(バイオ起源CO2)まで含む統合運用に宿る。すなわちバイオガスは、エネルギーと環境の両方のKPIを同時に改善するインフラ資産である。

ガス市場の裏側で進む主役交代
LP Information調査チームの最新レポートである「世界バイオガス市場の成長予測2026~2032」https://www.lpinformation.jp/reports/574532/biogasによると、2026年から2032年の予測期間中のCAGRが9.5%で、2032年までにグローバルバイオガス市場規模は609.15億米ドルに達すると予測されている。伸びの源泉は、電化が難しい熱需要と既存ガスインフラを生かした脱炭素の両立にある。加えて、廃棄物処理の規制強化とメタン排出の削減圧力が、原料確保と事業性を同時に押し上げる。市場が拡大するほど競争軸は設備効率だけでなく、原料の長期契約、運転データの最適化、証書・認証、オフテイク契約、保険・金融の組み立てへ移る。結果として、バイオガスはエネルギー単価勝負ではなく、リスクを束ねて収益を平準化する産業モデルへ進化する。

図. バイオガス世界総市場規模
図. 世界のバイオガス市場におけるトップ13企業のランキングと市場シェア(2025年の調査データに基づく;最新のデータは、当社の最新調査データに基づいている)

主要企業:データで読む勢力図
LP Informationのトップ企業研究センターによると、バイオガスの世界的な主要製造業者には、EnviTec Biogas、Shell、ENGIE、China Modern Dairy、TotalEnergies、VERBIO、Gasrec、Gasum、Waga Energy、Future Biogasなどが含まれている。2025年、世界のトップ5企業は売上の観点から約2.0%の市場シェアを持っていた。この構成は、装置・EPCに強い専業、ガス・電力を束ねる総合エネルギー、農畜産や廃棄物起点の原料ホルダーが、同一バリューチェーンで交差することを示す。欧州はガス網注入と燃料利用の制度設計が進み、プロジェクトは規模化しやすい一方、原料の競合と許認可が勝敗を左右しやすい。北米はRNGの市場設計と需要家の脱炭素調達が追い風となり、埋立地・畜産・下水の案件が金融に乗りやすい。中国は畜産・食品を含む有機性資源の厚みを背景に、環境政策とセットで導入が進み、運転の標準化と設備国産化がコストを押し下げる。企業別には、上位勢ほどガスそのものより、原料確保から販売契約までの統合力で参入障壁を築き、プロジェクトをポートフォリオとして運用する能力が収益を決める。

事業継続の設計図
バイオガスの強みは、発電や燃料の代替に留まらず、廃棄物の「処理」を「資源化」に変え、排出をコストから収益源へ反転させる点にある。さらに、精製バイオメタンは既存インフラに乗り、需要側の設備更新を最小化しながらScope1の削減を進められる。市場が2032年に向けて加速する前提は、政策の追い風だけでなく、企業が供給の強靭性と炭素の透明性を同時に求める時代に入ることを意味する。CEOや投資家にとって、バイオガスは設備投資の一案件ではなく、エネルギー調達、環境リスク、地域共生を一本化する経営インフラとなる。

直近の重要ニュース
2025年2月27日、英国リンカンシャーでAstraZenecaは、英国のFuture Biogasとの15年契約に基づくバイオメタン施設の稼働を公表し、同施設が年間100GWhの再生可能エネルギーを供給すると報じられた。
2025年6月3日、東京で日本ガス協会は、2050年カーボンニュートラルに向けた見直し計画として、将来のガス供給の50-90%をe-メタンまたはバイオガスで賄い、10-50%をCCS等を伴う天然ガスで賄う方針を示したと報じられた。
2025年10月1日、ドイツでEnviTec Biogasは、自社バイオメタン事業の拡張が進展し、2007年稼働のプラント拡張により年43GWhの追加バイオメタン生産能力が得られると発表した。

【 バイオガス 報告書の章の要約:全14章】
第1章では、バイオガスレポートの範囲を紹介するために、製品の定義、統計年、調査目的と方法、調査プロセスとデータソース、経済指標、政策要因の影響を含まれています
第2章では、バイオガスの世界市場規模を詳細に調査し、製品の分類と用途の規模、販売量、収益、価格、市場シェア、その他の主要指標を含まれています
第3章では、バイオガスの世界市場における主要な競争動向に焦点を当て、主要企業の売上高、収益、市場シェア、価格戦略、製品タイプと地域分布、産業の集中度、新規参入、M&A、生産能力拡大などを紹介します
第4章では、バイオガスの世界市場規模を、主要地域における数量、収益、成長率の観点から分析します
第5章では、アメリカ地域におけるバイオガス業界規模と各用途分野について、販売量と収益に関する詳細情報を探します
第6章では、アジア太平洋地域におけるバイオガス市場規模と各種用途を、販売量と収益を中心に分析します
第7章では、ヨーロッパ地域におけるバイオガスの産業規模と特定の用途について、販売量と収益について詳しく分析します
第8章では、中東・アフリカ地域におけるバイオガス産業の規模と様々な用途、販売量と収益について詳しく考察します
第9章では、バイオガスの業界動向、ドライバー、課題、リスクを分析します
第10章では、バイオガスに使用される原材料、サプライヤー、生産コスト、製造プロセス、関連サプライチェーンを調査します
第11章では、バイオガス産業の販売チャネル、流通業者、川下顧客を研究します
第12章では、バイオガスの世界市場規模を地域と製品タイプ別の売上高、収益、その他の関連指標で予測します
第13章では、バイオガス市場の主要メーカーについて、基本情報、製品仕様と用途、販売量、収益、価格設定、粗利益率、主力事業、最近の動向などの詳細情報を紹介します
第14章では、調査結果と結論

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