2026年06月23日 13:00

鉛酸電池市場の最新予測:2026年に73270百万米ドル規模、成長率2.3%の見通し

鉛酸電池とは
鉛酸電池とは、鉛および二酸化鉛電極と硫酸電解液の化学反応を利用した充電式蓄電池である。長い産業利用の歴史を持ち、低コスト性、高いリサイクル性、安定した出力特性を有する点が特徴である。

特に始動用電源としての信頼性が高く、鉛酸電池は依然として自動車分野における標準技術として位置付けられている。近年ではVRLA(制御弁式鉛蓄電池)やフラッド型電池など用途別に高度な製品分化が進んでおり、VRLAが市場全体の約72%を占める主要セグメントとなっている。

鉛酸電池は鉛板と硫酸電解液によって構成される二次電池であり、特に自動車エンジン始動用途において最も広く使用される成熟型蓄電技術として確立されている。2020年の世界販売量は約5,892億8,700万VAhに達し、前年比1.22%増を記録した。リチウムイオン電池と並び、二次電池市場の中核を形成している。
図. 鉛酸電池の世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「鉛酸電池―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、鉛酸電池の世界市場は、2025年に71780百万米ドルと推定され、2026年には73270百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)2.3%で推移し、2032年には83980百万米ドルに拡大すると見込まれています。

■ スタートストップ車両需要とEV移行の共存構造
鉛酸電池市場では、自動車のスタートストップシステム向け需要が最大用途であり、全体の約42%を占めている。近年の自動車電動化の進展によりリチウムイオン電池の存在感が拡大する一方、補助電源としての鉛酸電池需要は依然として維持されている。

直近6か月の業界動向では、48Vマイルドハイブリッド車向け補機電源としての採用拡大が確認されており、特に欧州メーカーを中心に低コスト補助電源としての需要が再評価されている。

■ 地域別構造:中国主導の供給体制とグローバル分散
地域別では中国が世界最大市場であり、全体の約49%を占める圧倒的な供給・需要拠点となっている。北米は約29%、日本は約11%のシェアを持ち、成熟市場として安定した需要構造を形成している。アジア太平洋地域では電動二輪車や通信インフラ用途の拡大が市場成長を支えており、インド・東南アジアを中心に新興需要が継続的に増加している。北米ではUPSおよびバックアップ電源用途が中心であり、データセンター拡大が需要を下支えしている。

■ 技術進化とVRLA電池の主導的地位
鉛酸電池市場ではVRLA電池が主流製品として確立されており、全体市場の約72%を占めている。密閉構造によるメンテナンス性の高さと安全性の向上が評価され、通信基地局やUPS用途で広く採用されている。

一方でフラッド型電池はコスト優位性を背景に、産業車両やオフグリッド用途で安定した需要を維持している。直近の技術課題としては、高温環境下での寿命劣化およびエネルギー密度の限界が依然として残存している。

■ 産業応用拡大と用途構造の多様化
鉛酸電池の用途は多岐にわたり、通信インフラ、UPS、フォークリフト、二輪車など幅広い産業に展開している。特に通信業界では5G基地局の増設に伴いバックアップ電源需要が増加しており、安定供給性が評価されている。またフォークリフトなど産業車両分野では、安全性とコスト効率のバランスから依然として主要電源として採用されている。

■ 市場課題とリチウムイオン電池との競争構造
鉛酸電池市場は成熟段階にある一方で、リチウムイオン電池との競争激化という構造的課題を抱えている。特にエネルギー密度の低さと重量の問題は依然として制約要因であり、高付加価値用途では代替が進行している。

一方でリサイクル性の高さと既存インフラの成熟度は競争優位性として維持されている。直近では原材料価格の変動や環境規制強化が製造コストに影響を与えており、企業は鉛回収率向上や製造効率化による対応を進めている。

■ 主要企業と競争環境
市場はClarios、Exide Technologies、GS Yuasa、EnerSys、East Penn Manufacturingなどのグローバル企業によって主導されている。特にClariosと中国系企業であるTianneng Holding Group、Shuangdeng Groupが市場シェアを拡大しており、上位3社で約36%のシェアを占める構造となっている。競争軸は価格競争から製品信頼性・リサイクル対応・グローバル供給網へと移行している。

■ 今後の市場展望
鉛酸電池市場は低成長ながらも安定した需要構造を維持し、特に補助電源・バックアップ電源領域で不可欠な役割を果たし続けると予想される。今後はEV補助電源化、通信インフラ拡張、産業用電源の安定需要が成長を支える主要因となる。一方でリチウムイオン電池との棲み分けが進み、用途特化型市場として再編が進行する見通しである。

本記事は、QY Research発行のレポート「鉛酸電池―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
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