2026年02月20日 12:00

弁護士向けAI法務SaaS「AILEX」、ガイドライン・マニュアルをAIに読み込ませて質問できる「ナレッジベースAI」機能を搭載 — PDF等を登録するだけで専用AIチャットが完成、引用元付きで回答 —

AILEX合同会社(本社:東京都渋谷区、以下「当社」)は、弁護士事務所向けAI法務SaaS「AILEX(エーアイレックス)」において、ガイドライン・通達・マニュアル等のPDF文書を読み込ませ、その資料の範囲内でAIが引用付きで回答する「ナレッジベースAI」機能を2026年2月に搭載したことをお知らせいたします。


■ 開発の背景

弁護士の業務では、官公庁が発行するガイドライン、通達、逐条解説、業界団体の基準書、事務所内の業務マニュアルなど、膨大な参照資料を日常的に扱います。法律の条文は熟知していても、行政解釈の細部やガイドラインの具体的な記述までを正確に記憶することは困難です。

数十〜数百ページの資料から該当箇所を探すために、何度もスクロールし、キーワード検索をかける。しかし、知りたい内容と文書中の表現が一致しなければ検索にヒットしない。日本弁護士連合会の調査によれば弁護士の年間平均労働時間は2,321時間に及びますが、こうした「探す時間」が弁護士の知的作業を圧迫し続けています。

一方、ChatGPTなどの汎用AIチャットに法律の質問をしても、モデルの学習データに含まれない特定のガイドラインの内容については正確に答えることができず、誤った情報を生成する「ハルシネーション」のリスクがあります。弁護士は「特定の資料に限定して、正確に答えてくれるAI」を求めていました。

当社は、この「資料を探す手間」と「汎用AIの不正確さ」という二つの課題を同時に解決するべく、本機能を開発いたしました。


■ 「ナレッジベースAI」機能の概要

本機能は、弁護士が参照資料のPDFをアップロードするだけで、以下の処理を自動的に実行し、資料限定の専用AIチャットを構築します。

(1)テキスト自動抽出
PDF、Word(DOCX)、テキストファイル、Markdownの4形式に対応し、アップロードと同時にテキストを自動抽出します。AILEX独自のPDF解析エンジン(PdfTextExtractor)により、外部サービスへの送信なしにローカル環境でテキストを抽出できます。

(2)チャンク分割
抽出されたテキストを約1,600文字(800トークン)ごとのチャンク(断片)に分割します。チャンク間には約200文字(100トークン)のオーバーラップ(重複)を設けることで、段落の途中で文脈が途切れることを防止しています。

(3)ベクトル化(Embedding)
各チャンクをOpenAI text-embedding-3-smallモデルで1,536次元のベクトル(数値配列)に変換します。これにより、キーワードの完全一致ではなく「意味的に近い」内容の検索が可能になります。たとえば「例外規定」と「適用除外」のように、表現が異なる同じ概念にもヒットします。

(4)質問応答(RAG方式)
ユーザーが質問を入力すると、質問文もベクトル化され、ナレッジベース内の全チャンクとの類似度が計算されます。上位5件の関連チャンクがAnthropic Claude APIに送信され、「参照資料の範囲内で」回答が生成されます。回答には参照元の文書名と推定ページ番号が付記されます。

(5)資料外の質問への対応
資料に記載がない内容について質問された場合、AIは「この資料には記載がありません」と明示的に返答します。汎用AIのように学習データから推測して回答を「でっちあげる」ことがないため、ハルシネーション(AI幻覚)のリスクが構造的に抑制されています。


■ RAG技術による「根拠のある回答」

本機能の中核は、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)と呼ばれる技術です。

通常のAIチャットでは、AIモデルの学習データのみに基づいて回答が生成されるため、特定のガイドラインの内容を正確に答えることはできません。RAGは「まず関連する資料を検索し、その内容をAIに渡して回答を生成させる」という二段階のアプローチで、この限界を克服します。

AILEXのナレッジベースAIでは、以下の処理を質問ごとにリアルタイムで実行しています。

質問文をベクトル化

ナレッジベース内の全チャンクとコサイン類似度を計算

類似度上位5チャンクを取得(類似度0.3未満は除外)

質問文+5チャンクをClaude APIに送信

「参照資料の範囲内で」回答を生成(引用元付き)

この方式により、回答は常に「登録した資料の記述に根拠がある」状態が保たれます。


■ PII自動マスキングによる守秘義務保護

ナレッジベースAIでは、弁護士の守秘義務(弁護士法第23条)に配慮した多層的なPII(個人識別情報)保護を実装しています。

ユーザーの質問テキストは、AILEXの独自PII自動マスキング技術(PIIMasker)により、氏名・住所・電話番号・メールアドレス等の個人情報が自動的にプレースホルダに置換されてからClaude APIに送信されます。回答生成後に元の情報に復元されるため、ユーザーは通常通りの質問・回答が可能です。

ナレッジベースに登録する文書は、ガイドライン・通達・マニュアルなどの参考資料を想定しています。文書テキスト全体を外部AIに送信することはなく、質問に関連する上位5チャンクのみがClaude APIに送信されるため、不要な情報流出リスクを最小化しています。

このPII自動マスキング技術は、当社が国内外のリーガルテックSaaS50社以上を調査した結果、同種のアプローチを採用しているサービスは確認されておらず、当社独自の技術的差別化要素となっています。


■ 利用イメージ

以下に、ナレッジベースAIの代表的な利用シーンを紹介いたします。

【シーン1:個人情報保護委員会ガイドラインの確認】
個人情報の取り扱いに関する相談を受けた弁護士が、通則編・外国提供編・仮名加工情報編のPDF3件をナレッジベースに登録。「要配慮個人情報の取得に本人同意が不要な例外ケースは?」と質問すると、通則編p.42-44の該当箇所から5つの例外類型を引用付きで回答。続けて「外国の第三者提供で同意不要となるのはどのような場合か?」と質問すれば、外国提供編の該当箇所に基づいて回答が返る。

【シーン2:事務所内マニュアルの即時参照】
事務所の業務マニュアル(新人向け手順書、経理処理規程、書類作成基準など)をナレッジベースに登録。スタッフからの「交通費の精算はどの書式を使うのか」「準備書面のフォーマットはどこにあるか」といった質問に、マニュアルの記載に基づいてAIが正確に回答。先輩への問い合わせの手間を省き、事務所全体の業務効率を向上させる。

【シーン3:特定分野の通達・逐条解説の活用】
労働基準法関連の通達集や消費者契約法の逐条解説をナレッジベースに登録。「36協定の特別条項で上限を超えられる要件は?」「消費者契約法10条の前段要件と後段要件の関係は?」といった実務的な質問に、通達・解説の原文に基づいた回答を即座に取得。条文の記憶に頼らず、常に原典に立ち返りながら法的検討を進められる。


■ 対応形式と仕様

本機能の主要仕様は以下の通りです。

対応ファイル形式:PDF、DOCX(Word)、TXT(テキスト)、MD(Markdown)
1ナレッジベースあたりの最大文書数:10件
1ナレッジベースあたりの最大チャンク数:1,000チャンク
チャンクサイズ:約1,600文字(800トークン)
チャンクオーバーラップ:約200文字(100トークン)
Embeddingモデル:OpenAI text-embedding-3-small(1,536次元)
回答生成モデル:Anthropic Claude(Sonnet 4)
質問時の参照チャンク数:上位5件(類似度0.3未満は除外)
チャット履歴保持件数:直近100件
ベクトル保存方式:MySQL BLOBカラム(float32バイナリ)
検索方式:PHPコサイン類似度計算
推定検索応答時間:100ミリ秒以内


■ 処理コスト

ナレッジベースAIの利用にかかるAPI処理コストは以下の通りです。

【文書登録時(1回のみ)】
10ページPDFの場合:テキスト抽出(無料)+ベクトル化(約0.3円)= 約0.3円/文書
100ページPDFの場合:テキスト抽出(無料)+ベクトル化(約3円)= 約3円/文書

【質問時(毎回)】
質問ベクトル化:約0.01円 + コサイン類似度計算:無料 + Claude API回答生成:約3円 = 約3円/質問

月30回質問した場合の月額API費用は約90円です。弁護士がガイドラインを手動で検索する時間(1回あたり5〜15分)と比較すると、費用対効果は極めて高い水準にあります。


■ AIエージェントとの連携

AILEXのAIエージェント機能(全22ツール搭載)に、ナレッジベースの横断検索ツール(search_knowledge_base)を新たに追加いたしました。

エージェントに「個人情報保護のガイドラインで、要配慮個人情報について教えて」と自然言語で質問するだけで、エージェントが自動的にナレッジベースを検索し、関連チャンクを取得して回答を構成します。ナレッジベースの画面を直接開かなくても、エージェントを通じた横断的な情報アクセスが可能です。


■ 既存AI機能との差別化

AILEXには複数のAI機能がありますが、ナレッジベースAIは以下の点で差別化されています。

AIチャット(AI相談):Claudeの汎用知識に基づく回答。広範な法律相談に対応するが、特定資料の記述を正確に引用することは困難。
ナレッジベースAI:登録資料の範囲内のみで回答。資料に記載がなければ「記載がありません」と明示。ハルシネーションリスクが構造的に低い。

全文テキスト検索:キーワード一致による検索。表現が異なる同じ概念にはヒットしない。
ナレッジベースAI:ベクトル類似度検索。「例外規定」と「適用除外」のように表現が異なる概念にもヒットする意味的検索。

ファクトチェック(Perplexity API):インターネット上の情報源で内容を検証。
ナレッジベースAI:ユーザーが指定した資料のみを情報源として回答。非公開のガイドラインや事務所内マニュアルにも対応。


■ 競合優位性

国内リーガルテック市場において、小規模弁護士事務所向けにRAGベースのナレッジベース機能を提供するSaaSは極めて限定的です。

大手法務AI企業は大企業向けにAIエージェントや文書分析機能を提供していますが、月額数十万円以上の料金体系であり、弁護士1〜5名の小規模事務所が導入できるものではありません。AILEXのナレッジベースAIは、月額API費用が数十〜数百円という低コストで運用可能であり、小規模事務所でも負担なく利用できる点で独自のポジションを確立しています。

さらに、PII自動マスキング技術との組み合わせにより、弁護士の守秘義務を保護しながらAIの恩恵を受けられるという点は、他社製品には見られない特長です。


■ AILEXについて

AILEXは、弁護士事務所向けの統合型AI法務SaaSです。「検証可能なAIリーガルOS」をコンセプトに、AI法律相談チャット、58種類以上のテンプレートによるAI文書生成、ファクトチェック、案件管理、依頼者管理、タスク管理、スケジュール管理、請求書管理、依頼者ポータル、AI契約書チェック、相手方書面AI分析、争点整理表自動生成、陳述書ドラフト生成、mints(民事裁判書類電子提出システム)提出パッケージ生成、相談受付フォーム、会議録音AI要約、ナレッジベースAIなどの機能を1つのプラットフォームで提供しています。

データベーステーブル数62、AIエージェントツール数22を擁する包括的な法務プラットフォームとして、弁護士の日常業務全体をカバーする「リーガルOS」を目指しています。

また、当社はAI出力の真正性を検証するためのオープンプロトコル「VAP(Verifiable AI Provenance)Framework」をIETF Internet-Draftとして提出しており、リーガルAI分野における技術標準の策定にも取り組んでいます。

IETF Internet-Draft: https://datatracker.ietf.org/doc/draft-ailex-vap-legal-ai-provenance/


■ 今後の展望

ナレッジベースAIについては、以下の機能拡張を予定しています。

AIチャットとの統合:AIチャット画面から「ナレッジベースを参照」を選択することで、通常のAI相談にナレッジベースの情報を注入する機能を追加。

AI文書生成との連携:テンプレートからの文書生成時に、ナレッジベースの内容を参照して生成精度を向上させるオプションを追加。

ファクトチェック連携:ナレッジベースの回答に対して、Perplexity APIによるファクトチェックをワンクリックで実行する機能を追加。

事件文書からの登録:事件の文書管理画面から「KBに追加」ボタンで、参考資料をナレッジベースに直接追加する導線を整備。

また、AILEX全体としては、2026年5月のmints(民事裁判書類電子提出システム)全面施行に向けたmints連携機能の強化、iOSモバイルアプリの提供(2026年Q2-Q3予定)、海外展開(韓国・台湾・ドイツ)の準備を進めてまいります。


■ 会社概要

会社名:AILEX合同会社
所在地:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-10-8 渋谷道玄坂東急ビル
事業内容:弁護士事務所向けAI法務SaaSの開発・提供
サービスURL:https://ailex.co.jp
SaaS URL:https://users.ailex.co.jp


■ お問い合わせ先

AILEX合同会社 広報担当
メール:info@ailex.co.jp
電話:03-6821-7462
公式LINE:https://lin.ee/P9JAWZp


■ 注意事項

※ AILEXのナレッジベースAI機能は、弁護士の調査・学習を支援する補助ツールです。AIが生成する回答は参考情報であり、法的助言を構成するものではありません。回答内容の正確性については弁護士ご自身が原典を確認のうえ最終判断を行ってください。
※ ナレッジベースに登録した文書のテキストは、質問に関連するチャンク(上位5件)のみが外部AI API(Anthropic Claude)に送信されます。依頼者の個人情報を含む文書の登録は推奨しません。
※ 本リリースに記載の機能仕様・処理コストは2026年2月時点のものであり、外部APIの料金改定等により変動する場合があります。
※ 「AILEX」「PIIMasker」「VAP(Verifiable AI Provenance)」はAILEX合同会社の商標です。
※ 「NotebookLM」はGoogle LLCの商標です。
※ 「OpenAI」「Whisper」はOpenAI, Inc.の商標です。
※ 「Claude」「Anthropic」はAnthropic, PBCの商標です。
※ その他、本リリースに記載されている会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。

以上

※記載内容(リンク先を含む)のサービスや表現の適法性について、ドリームニュースでは関知しておらず確認しておりません。

  • IT、通信、コンピュータ技術

会社概要

AILEX合同会社
商号
AILEX合同会社(エーアイレックス)
代表者
山川 慎太郎
所在地
〒150-0043東京都渋谷区道玄坂1-10-8渋谷道玄坂東急ビル
TEL
03-6821-7462
業種
ソフトウエア
上場先
未上場
従業員数
50名未満
会社HP
https://ailex.co.jp/
公式ブログ
https://ailex.co.jp/blog

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