2018年01月09日 10:00

2018年私立医学部受験の傾向と対策 (2018年度の傾向と対策を、最近の私大医学部入試の傾向や合格者の状況をもとに分析するとともに、親御さんに向けてのアドバイスや予備校選びのポイントを紹介します。)

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2017年度の私立医学部一般入試の志願者数は、108,181人と前年から2,318人増加し、志願倍率は29.8倍でした。相変わらず難易度の高い私立医学部入試について、2018年度の傾向と対策を、最近の私大医学部入試の傾向や合格者の状況をもとに分析するとともに、受験生の親御さんに向けてのアドバイスや予備校選びのポイントについて紹介します。

1. 2017年の私大医学部受験の総括
2017年度の私立大学医学部一般入試の志願者数は108,181人と前年の105,863人から2,318人増加しました。ただし、これは新設の国際医療福祉大学医学部が志願者を3,393人集めた影響が大きく、2000年代に高かった志願者数増のペースはここ数年で落ち着いてきたといえます。2000年度に45,501人だった志願者が2014年度には104,140人と、わずか14年間で約6万人増加したことを考えれば、かつての私立医学部人気の過熱ぶりと近年の収束がよくわかるでしょう。
一方で2017年度の私立医学部定員数が全体で3,633人ですから、志願者数を定員で割った志願倍率は29.8倍でした。私立の他学部では10倍を超えれば珍しいという状況の中、医学部がいかに突出した難関学部であるかは理解しておく必要があります。
また、国公立大学医学部はここ数年僅かではありますが志願者の減少が続いています。
2017年度であればセンター国語が大幅に難化し、得点が伸び悩んだ国公立志望者が安全志向から私立へ切り替えたり併願を増やしたりしたことが一因であるため、私立専願の受験者であっても国公立志願者の動向に無関係ではありません。

2. 最近の私大医学部入試の傾向性
近年の大きな特徴として、多くの大学で学費減額が相次いでいることが挙げられます。
帝京大学が2014年度に1,170万円の大幅減額したほか、順天堂大学や昭和大学、昨年度でも藤田保健衛生大学が640万円減額するなど多くの大学が減額に踏み切っています。
さらに昨年、6年間学費が2,000万円を切る国際医療福祉大学が昨年新設されました。
国公立大の学費が約350万円なのでまだまだ差があるとはいえ、これまで経済的理由で国公立専願だった層でも特待制度や奨学金などを併用しながら私立も選択肢に入れてきています。
また、難関大学から大企業に就職したといっても先行き不透明な世相から、受験生の医学部の志望変更だけではなく再受験者も増加、特に女子が多浪や再受験するケースも目立つようになってきています。
これは入試のあり方にも大きく影響し、学費が下がれば優秀な受験生が増加し入学の難度はますます上昇します。また、医師という職業の注目度の高まりに比例してモラルを欠く医師を糾弾する論調が散見されるようになり、学力以外の部分、つまり小論文・面接を重視する大学が増加してきています。「医師として不適」と判断されれば、学力試験の結果如何によらず不合格にする大学も少なくありません。医師という職業は地位、名誉、収入が魅力であることは間違ありませんが、不純な動機のみで入試合格、ひいては国家試験合格できるほど甘くはないのです。

3. 医学部合格者に見る傾向性 こんな人が合格している
前項までで私立医学部合格が難関であることは繰り返してきましたが、どう難しいのか分析しておきます。私立医学部といっても全部で31大学あり特徴や傾向は千差万別ですが、総じて「問題自体の難しさ」よりも「限られた時間内で多くの標準レベル問題をミスなく解く難しさ」にあります。
極端な難問や、場合によっては悪問が出題されないわけではないですが、これらで得点差がつくことはほぼありません。合否を分けるのは時間内で解答できた問題数とケアレスミスの多寡です。
この難しさを克服するには、「不得意教科・分野を作らない」ことが一番の近道です。
ここでの「教科」とは小論文・面接を含みます。
「得意教科で苦手教科をカバー」というのは程度にもよりますが相当リスクが高い戦略であるばかりか、一部大学では総合点で合格最低点を上回っていても、教科毎の基準点に満たなければ不合格になる場合もあります。
逆に最も避けるべきは「基礎を疎かにすること、我流にこだわること」です。
これは自分の満足度だけが高い方法で、実力がつかず結果的に遠回りになるだけです。
試験までの日数および到達目標レベルから逆算し、綿密な学習計画に沿って勉強を進めなければ合格は手に入りません。これは自分で判断することが難しいので、予備校や塾などの指導者と相談できればなお良いでしょう。

4. これからの私大医学部受験の傾向と対策
私立医学部の2000年度以降の志願者数増加については先に述べましたが、定員についても医師不足解消のため政府が2008年度以降定員増の対策を行ってきました。2007年に2,880人だった募集定員が、各大学の定員増や大学新設を経て2017年度で3,633人に達しました。しかしこの増員措置は2020年度以降見直され、場合によっては定員削減を行う可能性も考えられます。医学部定員はおそらく限度に近いので、この数年は大きなチャンスであると考えられます。
近年医学部への入学方式はますます多様化してきています。一般入試以外にも推薦、AO、編入、センター利用、さらには同じ入試制度内でも複数回試験を行ったり地域枠・帰国子女枠が設けられていたりなど、受験資格や入学条件に問題がなければぜひとも検討してチャンスを活かしたいものです。
ただし、制度毎に試験教科や求められる能力は大きく異なるので、無策のまま闇雲に出願せず、しっかりと戦略を練りましょう。
直前に迫った一般入試に関して、毎年各大学の志願者数は様々な要因で変動することは理解していただいたと思いますが、今年度は日本医科大学が6年間学費を570万円減額したこと、獨協医科大学の試験地に東京会場が追加されたことで志願者の増加が予想されます。
また、大阪医科大学・国際医療福祉大学・東邦大学は入試日程が変更になり、大阪医科大学を例に挙げると昨年度は他大学との日程重複はありませんでしたが、今年度は北里大学と重複するため、志願者が分散すると考えられます。
したがって志望校や学力だけでなく、私立医学部全体の入試スケジュール、学費、昨年度からの変更点(余裕があれば国公立も気にしたい)などを踏まえて受験校を決定していくことが医学部合格のカギとなります。

5.受験生の親御さんに向けてのアドバイス
甲斐性ある父親に限って、自分は共通一次試験がどうだっただの、難しい国公立大学医学部に合格しただのの“ちっぽけな体験”を自慢しがちです。実は子どもにとって父親の一番嫌な部分で、表立って反抗はしませんが心は離れます。父親は、自分だけではなく、子どもにとって祖父母の話、できたら母方の祖父母の自慢話をすると、子どもの目に「父が大きく見える」かつ「遺伝子を受け継ぐ自分を誇らしく思う」ことを知るべきです。さらに、日本が苦しくても頑張っていたころの話、日露戦争で秋山真之がバルチック艦隊を撃破した話であるとか、乃木将軍が敗軍の将ステッセルに敬意を表して軍刀を手渡してツーショット写真を撮らせた、これぞまさしく武士道!といった話や、松下幸之助や本田宗一郎などの偉大な企業家の話をしてあげると、父の株は大きく上がり、子どもは元気を受け取ります。父親は、経験を語る愚者ではなく、歴史を語る賢者たるべきです。母親はまず“口うるさい母親”が最も嫌われることを知るべきです。母の愛情が、一般に父親より深いことは子どももよく承知しているので、逆に過剰な「ことば」はむしろ禁物です。弁当を作ってあげるとか、細々とした準備を手伝ってあげるとかは、冗談以外の「ことば」は少なめにした方が良いですし、それをするぐらいなら、弁当箱に一言手紙でも添えた方が、子どもにとっては有難みが増します。特に子どもが嫌うのは、他人との比較です。近所や親戚の“できる子”の話を当てつけのように話されたら子どもは堪りません。父親も母親も、子どもの前で、相手のいないところで相手を褒めることを心がけなければ、子どもにとっても、また夫婦間の関係性にとっても非常にいい結果を生むと思います。

6.受験予備校選びのポイント
まず、大手予備校か、医系専門予備校かをよく考えましょう。成績がよく、大人数の授業でも十分ついていける、また受験にそんなにお金を使いたくない生徒ならば、大手を選んだ方がいいです。一方、心優しいが脆く、成績も振るわず、大人数では途中で挫折するのが予想できる、金銭的余裕のある人なら医系専門予備校を選ぶべきでしょう。後者の場合、(1)少人数クラス授業か、(2)完全個別授業か、(3)少人数クラス授業+個別授業の組み合わせかを選択する必要があります。(2)を選ぶ人は、2つのタイプに分かれます。一つは、必要な科目を週に1コマずつ取り、たとえば週4コマだけ出あとは宿題を与えられたら自学習で十分合格圏内に自分で持って行ける受験生。もう一つは、必要な科目をできるだけたくさん(週10コマ以上)取り、基礎が全くできていない状態から一気に医学部合格まで指導してもらいたいタイプ。その中間にいるのは、(1)または(3)です。(1)は1クラスの人数が少ないだけで大手予備校と原理は同じ。(3)は、ビッグバンの十八番ですが、クラス授業と個別授業のいいとこ取りをしたようなシステムで、定着が一番しやすいパターンです。自分の現状と能力を見極めて、賢明な選択をしていきただきたいと思います。

文責:松原好之

松原
好之(まつばら よしゆき)プロフィール
進学塾ビッグバン代表
大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)英語学科卒業。 神奈川歯科大学客員教授。
「教育とは己の個的な自己実現にとどまらず、世界に還元しうる能力――自由でしなやかな感性と硬質のロジシャンたる部分――の育成にある」とする持論をもって、人間味のない管理・スパルタ教育を厳しくしりぞける。かと言って自由と放恣の履き違えも断固として許していない。
09年「年収600万、子どもの偏差値40以上なら、医学部に入れなさい」(講談社)10年「子どもを医学部に合格させる父親はこうやっている」(講談社)がロングセラーを続け、日経メディカルオンライン「松原好之の“子どもを医学部に入れよう”」ブログがアクセス数全国1位を記録するなど、教育に関する発言が注目を集めている。
■著書/参考書
「松原の直前講習」(学研)
「1996~14年度版全国入試問題正解」(旺文社)
「年収600万、子どもの偏差値40以上なら、医学部に入れなさい」(講談社)
「子どもを医学部に合格させる父親はこうやっている」(講談社)
「逆算式勉強法なら偏差値40でも医学部に入れますよ」(講談社)
「9割とれるセンター試験の逆算式勉強法」(KADOKAWA 中経出版)
「偏差値40の受験生が3か月で一流大学に合格する本」(扶桑社)など
■小説
「京都よ、わが情念のはるかな飛翔を支えよ」(1979年 第3回すばる文学賞受賞「集英社」)
「遠く北方の嵐を聴きつつ・・・」(すばる「集英社」)
「再生不良性貧血」(蛍雪アルシェ「旺文社」)

■分析概要
分析の調査機関:進学塾ビッグバン
分析対象期間:2017年3月から12月まで
分析対象人数:高3生・高卒生426名
発表日:2018年12月18日
分析内容:医学部入試問題・医学部受験動機・教科学習状況についてのアンケートより分析


【会社概要】
会社名:株式会社日本教育センター
代表者:代表取締役社長 松原好之
所在地:大阪府茨木市双葉町3-17上田ビル2F
TEL:072-638-5801
FAX:072-638-0616
URL:http://www.bigbang-web.jp
E-Mail:info@.bigbang-web.jp
事業内容:医系予備校「進学塾ビッグバン」の運営、出版事業

【本件に関するお問い合わせ】
会社名:株式会社ビッグバンプランニング
担当者:野坂(大阪南校校舎長)
TEL:06-6634-1166
FAX:06-6634-1222
E-Mail:nosaka@bigbang-med.jp

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  • 教育、資格、スキル

会社概要

商号
株式会社日本教育センター(カブシキガイシャニホンキョウイクセンター)
代表者
松原 好之(マツバラ ヨシユキ)
所在地
〒567-0829
大阪府茨木市双葉町3-17 上田ビル2F
TEL
072-638-5801
業種
教育関連
上場先
未上場
従業員数
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会社HP
http://www.bigbang-web.jp/

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